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「望月とまり」の検索結果
10件の作品が見つかりました
十四で焼け出された煎餅屋ですが、焼け残りの焙炉一つで十二年焼きつづけたら、家を捨てた父が毎朝隣町の火を運んできます
二軒なのに一軒と数えられた豆腐屋ですが、水舟の氷を隣と交代で割りつづけたら、西の女が九つの鐘ごとに薪を担いで入ってきます
船を降りて浜に流れ着いた干物屋ですが、戻らない干物を作りつづけたら、浜を束ねる女が来るたび何も訊かずに魚を置いていきます
飯を三日返された一膳飯屋の女将ですが、竈の口を積み直したら、庖丁を握らぬ雇い人が日に三十四度も半歩の道をあけてくれます
手が空いてるだけで惣菜屋に使われた娘ですが、崩れる里芋を数えていたら、板場を退いた親方が指図を二度ずつ言い直してくれます
枡の筋が読めなくなった灯明屋ですが、四つの段と落ちる音で量りつづけたら、継ぐ気のない甥が毎晩一合ずつ買いに来てくれます
伐り旬まで竹を断られた竹細工の親方ですが、節間一つにつき一文で払いはじめたら、山の者が五日に一度荷車で下りてきてくれます
褒められて値を下げられた綿打ち屋ですが、客の前で綿の目方を量ってみせたら、隣の縫い手が十年毎日この土間を通っていきます
触れの来ぬまま川へ入って咎められた砂利採りですが、堤の二十間を直しつづけたら、講の肝煎が月に六度掟書を風に当てていきます
立ち退きを言い渡された辻の櫛売りですが、筵をやめて台にしたら、行商の小間物屋が三年いつもの刻に天気を教えていってくれます