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「藤白かなた」の検索結果
10件の作品が見つかりました
借財だけを遺された湯屋の弟ですが、湯銭を一銭のまま番台に座りつづけたら、山の兄が月ごとに湯札を二千枚降ろしてよこします
山師と名を貼られた茸採りですが、値を言えないまま籠を九つ下ろしたら、仲買が出はじめのたび峠を越えて値を読み上げてくれます
郡の名簿に一行だけ書き足された鍛冶屋ですが、抜いた歯を帳面に書いたら、巡回の歯医者が日に一度は鞴の前に座りこんでいきます
座元は誰でもいいと言われた小屋の主ですが、番付を一枚空けて幕を開けたら、木戸番が九年一日も休まず木戸を開けています
復唱の癖を座で笑われた筆記方ですが、訛りを直さずに書き取ったら、言葉が落ちていく語り部が座のたび私の右を離れてくれません
職を潰すと言い渡された鐘楼の重り上げ番ですが、今年も錘を上げていたら、大時計の設計者が毎晩百二十七段を上がってきます
落橋の名を着せられた石積みですが、請書に名のないまま石を積んだら、郡の検査役が来る日も来る日も灯を持って待っておられます
目を失って測量の免許を返した男ですが、足の裏で段を測って売ったら、盲導犬の訓練士が月に五度も下宿へ迎えに来てしまいます
帳場に六年据えられた回漕屋の跡取りですが、商船学校で手旗を振りはじめたら、教官が夜ごと隣の当直に立っていてくださいます
三尺玉から手を引いた花火屋ですが、同じ川で星を掛けつづけたら、向かい岸の花火師が八年欠かさず私の真向かいを選んでくれます