📚 作品ラインナップ (全8巻) 最終更新:2026/03/04
地中海を中心に興亡を繰り返したさまざまな古代文明の世界、すなわち「地中海世界」の歴史を、古代ローマ史研究の第一人者、本村凌二氏が描きつくす。講談社選書メチエ創刊30周年を記念して堂々刊行する、全8巻。第1回配本は、1・2巻の同時発売。「地中海世界」といえば、従来は「古代ギリシア・ローマ世界」と同義と思われてきたが、近年の研究ではもっと広く、古い時代からとらえられるようになったきた。それは、文明の発祥地メソポタミア、エジプトから、ペルシア帝国、ギリシアの都市国家を経て、ローマ帝国の誕生と崩壊にいたる、約4000年の歴史世界である。文字・貨幣・一神教の誕生、独裁制と民主主義、哲学と科学による真理の探究など、現代に続く人類の営みは、この「地中海世界」で始まっている。第1巻は、地中海世界が共有する神話の世界から説き起こす。メソポタミアに文明を興したシュメール人の神々は、人間に何を語りかけたのか。古代エジプトの異形の王が断行した宗教改革とは。弱小勢力が興亡するパレスティナに起こった人類史的変動とは何か――。1000年に一度の「文明の転換期」とも言われる現在、「1000年単位の歴史の変動」とはどんなものなのか、人類の歴史と現在を考える全ての読者にお送りする必読のシリーズ。目次序章 地中海世界とは何か第一章 愛の女神イナンナに始まる1 文字と都市の出現2 シュメールの王、ギルガメシュ3 「戦争」と「平和」の風景4 アッカドからバビロニアへ第二章 神々の河は地中海にそそぐ1 聖なるナイルの王権2 時はピラミッドを怖れる3 古王国・中王国時代4 新王国時代第三章 両翼の狭間で1 シリア・パレスチナの馬と群雄2 ヘブライ人の登場3 海の民とフェニキア人 第四章 神々の声が聞こえる1 叙事詩のなかの神2 神の声を聞く人々3 自然信仰とマアト4 心性の考古学
メソポタミアからローマ帝国まで、「地中海世界」4000年の歴史を、古代ローマ史研究の第一人者が描きつくす全8巻シリーズ。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。第1巻と同時発売の第2巻は、ローマ帝国に先立つふたつの大帝国、アッシリアとペルシアの登場を、大胆な仮説と人類史の大きな構想のなかで描く。第1巻で語られた「人間が神々の声を聞いていた時代」は、紀元前1000年前後を境に大きく変容する。神々の声が人々に届かなくなっていくのである。それには、アルファベットと貨幣の発明が関係あるのだろうか――。そしてこれ以降、「世界帝国」と呼ばれる大覇権が形成され、地中海世界の秩序は大きく変動する。周辺地域の騎馬遊牧民や、東地中海の「海の民」の影響を受けて台頭した軍事国家アッシリアは、「強圧の世界帝国」として他を圧倒。一方、アッシリアの後にさらに大領域を治めたペルシアは、征服した諸民族の文化と信仰を許容して貢納関係を結び、「寛容の世界帝国」をなした。これら世界帝国は西の辺境ギリシアに新たな都市国家を生み、後のローマには学ぶべき広域帝国の前例を残したのだった。目次はじめに第一章 人類最大の発明1 初期アルファベットの誕生2 ヘブライ人の唯一神3 貨幣の出現第二章 強圧の世界帝国アッシリア1 軍事国家の台頭2 最初の「世界帝国」へ3 帝国の分裂と文明の終焉第三章 寛容の世界帝国ペルシア1 キュロス王からダレイオス大王へ2 パックス・ペルシアーナ3 ギリシアとの戦争第四章 神々の沈黙と「枢軸時代」1 預言者たちとユダヤ教2 イラン高原の宗教運動――ゾロアスター教3 汝自身を知れ――人間の魂の発見4 インド・中国の覚醒者たちおわりに
「地中海世界」4000年の文明史を、古代ローマ史研究の第一人者が描きつくす全8巻シリーズの第3巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。第3巻のテーマは、エーゲ海とギリシアの文明。「神々の世界」から「人間」が歴史の主役となる、「人間主義の黎明期」である。紀元前3000年頃に始まるエーゲ文明は、前半をミノア文明、後半をミュケナイ文明に代表されるが、前1200年頃、ドーリア人や「海の民」の侵入・襲撃などにより崩壊する。その後の「暗黒時代」を経てアテナイ、スパルタに代表される都市国家(ポリス)が発達し、前5~4世紀に最盛期を迎える。ギリシア世界は、ギリシア本土だけでなく、小アジア・黒海沿岸から、イタリア半島南部、シチリア島、さらにマルセイユやリビア沿岸へと広がり、各地に植民都市が建設された。それらの都市では、自然科学や哲学が産声をあげ、理性に根ざした芸術や文学とともに、人間は自由で平等であることを自覚するようになり、民主政治をも生み出したのだった。しかし、その「自由な市民社会」は奴隷制度と表裏一体であり、プラトンやアリストテレスら卓越した知識人さえも、「自然による奴隷」を自明のものとしていた。そこに古代社会の深淵が顔をのぞかせていたのである。目次はじめに第一章 陽光は暗黒を照らす1 エーゲ海の宮殿文明2 英雄叙事詩が語る「新しい人間」3 ポリスの誕生 第二章 拙き理知の彼方に1 神々と人間への讃美2 軍国主義の覇者・スパルタ3 交易の都市、哲学の都市4 大国アテナイの僭主と賢人第三章 熱意と思索の結晶1 クレイステネスの民主政2 先進国ペルシアとの戦争3 下層市民の政治参加と教育論争4 ペリクレスの黄金時代5 行動する人々の祝祭第四章 都市の自由と古代社会の深淵1 ペロポネソス戦争、二七年の激闘2 アテナイの哲人たち3 混迷するギリシア世界4 「古典期」の女性と社会5 奴隷と自由人おわりに
ローマ史研究の第一人者が、古代地中海文明の全史を描く全8巻シリーズ、好評第4巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。第4巻のテーマは、「ヘレニズム」。ギリシアの北方、マケドニアの王アレクサンドロスの東方遠征によってギリシア文化とオリエント文化が融合し、あらたな文明世界が創出される。著者・本村氏によれば、地中海世界4000年の歴史の中で「見過ごされがちだった重要な時代」であり、だからこそ、このシリーズの中で特に1冊を設けたかったという。紀元前334年に東方遠征を開始したアレクサンドロスは、10年足らずのうちにペルシア帝国を滅ぼし、インダス川に達する大帝国を築く。このあらたな世界では、オリエント文化のギリシア化と同時に、ギリシア文化のオリエント化が起こり、そこに生まれた普遍的な文化は「ヘレニズム文明」と呼ぶべきものだった。ギリシア語が共通語として用いられ、それまで様々な言語によっていたオリエントの学問や思想がギリシア語で表現されるようになる。また、ヘレニズムは、空前絶後の「宗教融合(シンクレティズム)」の時代であり、ギリシアやエジプトの神々が地中海世界の各地で信奉された。人類最初のグローバル化の時代に、「個人の救済」という契約を神に求める心性が現れ始めるのである。目次はじめに第一章 声なき「高地の民」1 マケドニアの軍事ルネサンス2 デモステネスとアリストテレス3 侵略か、防衛戦争か4 ギリシア世界の覇者、フィリポス二世第二章 希望の大王、東へ征く1 アレクサンドロス伝説と「英雄の資質」2 帝国ペルシアへの侵攻3 テュロスからペルセポリスへ4 世界の果てをめざして第三章 後継者たちの戦いと均衡1 帝国の中核――アンティゴノス朝マケドニア2 ギリシア、インドに接す――セレウコス朝3 エジプトの外来政権――プトレマイオス朝4 ヘレニズム諸国の経済と都市第四章 共通語は新しい神を生む1 ローマの台頭とヘレニズム文明2 思想と人間観の変容3 救済者として現れる神おわりに参考文献索引
一人の歴史家の視点で古代地中海文明の4000年を描く全8巻シリーズ、好評第5巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。第5巻からは、いよいよローマが主役となる。4巻までに描かれた、ギリシア文明とヘレニズムの時代と並行して、イタリア半島ではローマ人が着々と力をつけていた。紀元前753年に建国伝承を持つローマは、7代の王政の後、ローマ人がエトルリア人の王族を追放して、前509年、みずからの国家を樹立する。徹底して「王の独裁」を嫌うローマ人の国家は、著者によれば「共和政ファシズム」と呼ぶべき政体で、国内では共和政を貫きながら、国外には覇権主義を振りかざし、困難な時ほど力強さを見せるようになる。ローマ人はギリシア人と異なり、何よりも故国の土地にこだわった。新天地に植民都市を築くのではなく、ひたすら国土を広げ、祖国を強くするために戦った。この「祖国」というものこそがローマ人の発明であり、それを守るために、父祖たちの遺風と伝統を重んじ、勝つことにこだわったのである。こうして、前3世紀半ばまでにイタリア半島を制したローマ人の前にたちはだかったのが、カルタゴだった。東地中海沿岸を故地とし、航海と商業で栄え、アルファベット式の文字を開発した地中海古代史の一方の主役、フェニキア人の国家である。名将・ハンニバルを擁するカルタゴと、スキピオ率いるローマの戦いの帰趨が、その後の地中海世界の大きな転換点となる。目次はじめに第一章 伝説の中で戦いが始まる1 建国伝説と王政七代2 忘却のエトルリア文明3 共和政ローマの政治と法4 カミルス伝説と「国辱の日」第二章 偉大な父祖たちの半島1 保護と奉仕の絆2 サムニウム戦争の半世紀3 「共和政ファシズム」と民衆の熱気第三章 運命の巨大な褒賞1 カルタゴとローマ2 シチリア争奪戦――第一次ポエニ戦争3 ハンニバル対ローマの「剣と盾」――第二次ポエニ戦争4 大スキピオとハンニバルの明暗――ザマの決戦第四章 地中海の覇者へ1 ヘレニズム諸王国との対決――マケドニアとシリア2 国粋主義者カトーの苛立ち3 「ギリシアかぶれ」とローマ社会4 カルタゴ滅亡――第三次ポエニ戦争おわりに参考文献索引
一人の歴史家の視点で古代地中海文明の4000年を描く全8巻シリーズ、好評第6巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。地中海の覇権を握ったローマが、カエサルとアウグストゥスという二人の傑物を軸に、地中海を取り囲む帝国へと発展する200年あまりを描く。王の独裁を嫌い、長い時間をかけて共和政を完成させてきたローマは、なぜ帝政へと転換したのだろうか。前146年に宿敵カルタゴを倒した地中海の覇者は、混迷の中にあった。グラックス兄弟の改革は二人の非業の死で終わり、マリウス、スッラ、クラッスス、ポンペイウスら有力者が競い合う。やがて頭角を現したユリウス・カエサルは、終身独裁官の地位を得たものの、元老院貴族の反感を買って暗殺されるが、彼がその素質を見抜き、目をかけた少年が、姉孫のオクタウィアヌスだった。カエサルの死後、アントニウスとクレオパトラの連合軍を破ったオクタウィアヌスは、初代皇帝アウグストゥスと呼ばれるが、あくまで「共和政国家の元首」として振る舞いつつ、帝政を建設する。しかし、カエサルに始まるローマ皇帝の系譜「ユリウス・クラウディウス朝」はその後、苦悩続きとなる。期待されつつ早世したゲルマニクス、狂気を帯びた皇帝カリグラ、母に疎まれ続けたクラウディウス、暴君の代名詞・ネロ。一方、この時代の帝国の華やかさと豊かさは、ポンペイの遺跡の中に見出すことができる。はじめに第一章 覇者は混迷を深める1 「特異なる民」の神と神々2 グラックス兄弟とその母3 内乱のローマ――マリウスvs.スッラ4 大ポンペイウスの勝利第二章 「運命の寵児」の栄光と死1 進撃する「わが友カエサル」2 「殺されるべくして殺された」3 アントニウスとクレオパトラ4 カエサルは妻を愛したか?第三章 「尊厳なる者」の帝国と都1 共和政の元首・アウグストゥス2 私人として、公人として3 平和のなかの詩人たち4 ローマ市街の碑文を歩く第四章 血族の権威と引力1 ゲルマニクスの幻影2 狂気と不機嫌の皇帝――カリグラとクラウディウス3 暴君にして芸能人――ネロとその時代4 手なずけられる民衆5 ポンペイ・グラフィティの世界おわりに参考文献索引
一人の歴史家の視点で古代地中海文明の4000年を描く全8巻シリーズ、好評第7巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。暴君ネロの没後、混乱を収拾して帝位についたウェスパシアヌスは、平凡な家柄の武骨な軍人だったが、元老院とたくみに折り合う節約家で、権力も国家財政も安定を取り戻し、ローマの巨大闘技場コロッセオの建設にも着手した。しかし息子のドミティアヌス帝は恐怖政治の果てに暗殺され、悪帝の評価を残す。次のネルウァ帝に始まる80年こそ、18世紀の歴史家・ギボンが「人類至福の時代」と称賛した「五賢帝時代」である。2人目のトラヤヌス帝は帝国史上最大の版図を実現し、3人目のハドリアヌス帝はブリテン島からイベリア半島、アフリカ、シリアまで帝国内を旅して皇帝の威光を示した。しかし、5人目のマルクス・アウレリウス帝は『自省録』(講談社学術文庫)を著した「哲人皇帝」として知られるが、治世の最後に大きな過ちをおかしてしまう。また、「ローマの平和(パクス・ローマーナ)」の陰には不安な薄闇が広がっていた。人々は「パンとサーカス」に浮かれながらも漠然とした罪障感にとらわれ、ヘレニズムの波のなかに生まれたイシス信仰やミトラス教、そしてキリスト教などの宗教に救済を願い始める。さらに、プリニウスの『博物誌』の世界、奴隷制社会の「捨て子問題」、スペインのローマ遺跡探訪など、爛熟期のローマ社会を多角的に描く。はじめに:あるイギリス人がみたローマ帝国第一章 新興家系の皇帝たち1 気取らない男、ウェスパシアヌス2 プリニウス『博物誌』の視野3 皇帝となった兄弟の明暗4 奴隷と捨て子の社会史第二章 比類なき賢帝と最大の過ち1 「至福の時代」の五人2 哲人の実子の乱行3 大浴場と愚帝の時代第三章 薄闇に生きる人々の願望1 「パンとサーカス」の恩恵と栄誉2 ポンペイを彩る神々3 ローマ人とユダヤ人の信仰4 キリスト教の登場第四章 「旅する皇帝」と辺境のローマ1 「属州」とは何か2 ガリアからブリタニアへ3 属州ヒスパニアの歴史4 スペインのローマ遺跡を歩く5 シリア、ギリシア、エジプトへおわりに:ローマ史とアメリカ史の交差点参考文献索引
一人の歴史家の視点で古代地中海文明の4000年を描く全8巻、ついに完結。「帝国の滅亡」は「文明の衰退」なのか? 現代人の歴史観を揺さぶる、講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。わずか半世紀の間に正統な皇帝だけで26人、各地の「自称皇帝」などを含めて70人の皇帝が乱立したローマ帝国の「軍人皇帝時代」。284年に帝位についたディオクレティアヌスは、四帝の分割統治でこの「三世紀の危機」を収拾する。その後、帝国の統一を取り戻したコンスタンティヌス1世は、大胆な通貨改革と、ビザンティオン(現イスタンブル)への遷都を断行、キリスト教を公認して「大帝」とよばれる。しかし、国境地帯での異民族の侵入など、社会の深部ではすでに大きな変動が始まっていた。395年、ついに帝国は東西に分裂。西ローマ帝国は、フン族など異民族に脅かされたあげく、476年に消滅。一方の東ローマ帝国は、6世紀のユスティニアヌス1世のもとで最盛期となり、その後15世紀まで帝国の命脈を保つ。ローマ帝国が滅亡に向かうこの時代は、従来は単に「文明の衰退期」とみられてきたが、近年の研究では、新たな思潮と秩序を生んだ「古代末期」という時代区分として捉えられている。多神教世界が一神教世界に転換したとき、人間の心も決定的に変容していた。そして、「中世」さらに「近代」とはどんな時代だったのか。4000年にわたる「文明の旅」の終着地は――。目次はじめに:帝国の衰退か、文明の創生か第一章 「危機の世紀」と歴史の宿命1 軍人皇帝乱立の半世紀2 内憂外患と暴落する威光3 贅沢と軟弱の心性史4 古代社会の法と自由第二章 大帝と背教者の皮肉1 変革の統率者、ディオクレティアヌス 2 コンスタンティヌスとキリスト教 3 帝国の混迷と東西分割:ユリアヌスとテオドシウス4 キリスト教会の成功と堕落第三章 蛮族に震える永遠の都1 偉大な教父が見た「ローマ略奪」2 アッティラの執念と帝国の東西3 ゲルマン人への恐怖と讃嘆4 聖者伝にみる民衆の憧れ第四章 新たな世界への没落1 地中海の神々と大自然2 ユスティニアヌスのローマ復興3 属州再編と帝国の衰退4 衰亡史の三つの論点:経済・軍事・文明5 古代末期への新しいまなざし終章 その後の地中海世界あとがき:四〇〇〇年の旅を終えて参考文献索引